秋の奈良というと鹿を思い浮かべる方は、多いのではないでしょうか?
鹿がいる所である奈良、あるいは百人一首の「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」を思い出される方もおられるかもしれませんね。
「鹿の角切り」が鹿苑という所で、毎年10月に行われます。
鹿の角切りとはどのような行事なのでしょうか?
この記事で分かること
鹿の角切りについて
鹿は雄のみ角が生えるのですが、大きな角は50cm程にもなるようです。
かなりの大きさで、重そうですね。
鹿同士あるいは、人を傷付けるのを回避するため、安全対策として角切りは行われるのです。
奈良では鹿は神様の使いとして大切に保護されており、1200頭以上いるとのことです。
天然記念物に指定されています。
角切りは、まず安全祈願祭が行われ、神職により角切り場内が清められます。
そして勢子(せこ)と呼ばれる人たちが赤旗を持ち、雄鹿を角切り場へと追い込みます。
鹿が入ってくると太鼓が鳴り響き、勢子たちが鹿を追いかけるのです。
素朴ながらダイナミックな角切り
鹿も勢子も全力で走るのは、なかなか迫力があるものですよ。
もちろんすぐに捕まえられる訳ではありません。
勢子たちが長い竹竿で鹿を追込み、捕まえたら傷を付けないよう注意してゴザに寝かせます。
雄鹿は60-80kg程あり、勢子たち5-6人位で動かないように、押さえていなければなりません。
鹿はいつ動くかわからないので、勢子たちが力を入れているのが伝わって来ます。
これは見ていてこちらも、つい力が入ってしまいます。
そして烏帽子を被った神官が登場すると、落ち着かせるために鹿に水を1口飲ませて、ノコギリで角を切り落とすのです。
シンプルな行事ながら野生動物相手のスピード感があり、予定通り行かないようなところが魅力のように感じます。
角切りの日程や費用は?
費用は、大人¥1000、子供(小学生)¥500で当日券のみです。
鹿苑前のチケット売場で、11:30-14:30に販売されます。
日程 | 2019年10月12日(土曜日)-10月14日(月曜日 祝) |
時間 | 12:00-15:00 (開場 11:30、LO入場 14:30) |
場所 | 春日大社境内 鹿苑 角切り場(奈良公園内) |
住所 | 奈良市春日野町160 |
電話番号 | 一般財団法人奈良の鹿愛護会 0742-22-2388 (8:30-17:15) |
web | http://www.naradeer.com/event/tsunokiri.html |
地図
アクセスはこちら
JR、近鉄
奈良駅から奈良交通バス「春日大社表参道」下車、東へ徒歩5-7分
近鉄 奈良駅から徒歩 30分
駐車場
早めに着かないと直ぐに満車になってしまうようです。
角切り場近くの駐車場を2つご紹介致します。
高畑丸山駐車場
住所 奈良市高畑町1215-5
営業時間 7:00-21:00
台数 43台
料金 1日¥800(月-金)1日¥900(土)1日¥1000(日・祝)クレジットカード不可
回数券、プリペイドカード不可
電話番号 0742-25-0244
地図
奈良高畑自動車駐車場
住所 奈良市高畑町1205-1
営業時間 8:30-17:00
台数 166台
料金 1日1回¥1000(バス満車時は駐車不可)二輪1日1回¥300
クレジットカード、回数券、プリペイドカード不可
電話番号 0742-22-3523
地図
トイレについて
春日大社境内他にもありますが、混雑が予想されます。
お店に入った時などに、行っておくのも良いかもしれません。
痛みは感じないの?
ノコギリで角を切られ、痛みは無いのか気になりますが、生え始めの柔らかい状態と違い血管や神経が通っていないので、痛みは感じないとのことです。
一安心ですね。
角の生え始めは硬くない……
角は2月〜3月に自然に抜け落ち、夏に向かってまた新しく生えて来ます。
最初からしっかり硬いのではなくて、袋角という表面は意外にも柔らかくて温かく感じられるそうです。
この時期は角には神経が通っており、ぶつかったりすると痛みを感じるとのことです。
1日に約2cm成長するようで、角が完成する夏の終わり頃には固くなり血管、神経が通わなくなり皮膚が剥がれて落ちるのだそうです。
この頃には角を切り落とされても、痛みは感じなくなっているのですね。
赤ちゃん鹿は、もちろん角が生えていないわけですが、何歳頃生え始めるのでしょうか?
枝分かれしていく角
角は1歳頃から生え始め、初めは枝分かれはしていません。
次の春頃に抜け、また新しく生えて来ます。
そして今度は2股に枝分かれするのだそうです。
2股は2歳、3股は3歳、4股以上には増えないので、4股は4歳あるいは4歳以上ということになります。
7歳から10歳位で大きさが最大になり、その後老齢で短くなり、左右非対称になることもあるようです。
切り落とされた角は神前に供えられ、その後は商品として販売されます。
角の売上金が鹿に
角は刀掛けや犬のおしゃぶりなどに加工されて、奈良の鹿愛護協会事務局やホームページから販売されています。
鹿達は野生ではありますが、病気や怪我、妊娠、赤ちゃんの鹿達は鹿苑の保護施設に収容されるのです。
その年間の維持費は約1億円で、角の売上金が当てられているとのことです。
鹿の角切りは江戸時代から
角切りの始まりは、江戸時代(1671年)に、鹿の管理をしていた興福寺が奈良奉行立会いで行ったのが始まりだそうで、当時は町内の袋小路でされていたようです。
町民に害を与えたり、鹿同士で死傷することがよくあったとのこと。
330年以上も前から続いているのですね。
その後1928年に春日大社の参道に角切り場が設けられ、見物席も設置されました。
春日大社境内の鹿苑内の会場で、角切りは見ることが出来ます。
普段一般には立ち入り禁止ですが、この時は入場が可能となります。
この行事は3日間続くのですが、正午に安全祈願があり、30分間隔で5回行われます。
完全入替制になっています。
小雨決行ですが、荒天中止となります。
混雑状況は?
角切り場には、1回に700人が入場できますが、12:00からの1回目が1番混雑するようです。
14時前後の方が空いているとのことですので、混雑を避けたい方はこの時間帯にされてはいかがでしょうか?
気をつけたい事
帽子は問題ないのですが、三脚、自撮り棒、日傘は禁止になっています。(最上階でなら日傘は使用可能)
全て立見となっています。
鹿達の日常は?
鹿達は日の出と共に観光客が来る場所である参道や、公園内の草原へ行き1日過ごします。
早起きなんですね。
そこで鹿せんべいをもらったり、草を食べたりするようです。
ただし鹿せんべいは、おやつであって餌ではないので、芝やどんぐりなどを食べています。
鹿せんべいは、ぬかと小麦粉で作られており、人が食べても大丈夫とのことです。
1672年に販売されていた記録もあるとか。
そして夕暮れになると20頭前後で公園内の、ひと気のない茂みや公道に移動して行くのだそうです。
つまり屋外で眠るということになります。
鹿達は野生なので夜にどこかに、収容されるわけではないんですね。
そういう理由も有り、年間に100頭位が交通事故に遭うそうです。
1年間で約360頭が……
1年間に360頭もの鹿が(100頭前後は事故で)亡くなるということです。
野生なので仕方がないのでしょうか……。
亡くなった鹿は鹿苑で火葬されて、鹿塚に埋葬されます。
11月には鹿せんべいの製造業者が参列し、春日大社の神職により供養、慰霊されるそうです。
奈良にいる鹿の寿命は、雄が12-15歳、雌が20-25歳位のようです。
少しでも事故で亡くなる鹿が、減って行くことを祈りたいものですね。
可愛いけど注意も必要
筆者も数度奈良に行き、鹿達と触れ合ったことがあります。
大きな綺麗な目をした鹿は、とても可愛いものです。
しかし人に慣れているからでしょうか、バッグをパクリとくわえられ、なかなか離してくれなかった事がありました。
奈良公園には、「かむ」「たたく」「突く」「突進」 に注意の看板が置かれています。
TVでお弁当を食べられてしまう映像を観た事もあります。
被害に会う方が少なくないのでしょうね。
注意しながら鹿達と楽しい時間を過ごして頂きたいものです。
まとめ
奈良で330年以上も前から行われている鹿の角切りは、動物好きの方も、また子供も楽しめるイベントではないでしょうか?
角切りを見学する他、鹿せんべいを食べさせるのも、普段出来ない楽しい事だと思われます。
角切り場では、三脚、自撮り棒、日傘は使用不可で、立見となっています。
時期的に暑さや寒さに対応出来るよう、帽子や羽織れる物も持って行かれる事をお勧め致します。
持ち物などに注意しつつ可愛い鹿達と秋の1日を楽しむのは、いかがでしょうか?